Lucky Strike Reynard British American Racing BAR Honda
BAR02

(lauched on 24th.Jan)

< Benetton Williams >

チーム状態など

 続いては、マシンのシェイクダウン自体は圧倒的に早かったBAR。

 昨年は当初の彼らのコメントからは想像もつかないような「惨敗」を言える成績に終わったBAR。チャンピオンドライバー、ジャックをもってしても、マシンはリタイヤを繰り返し、ノーポイント。さらには、潤沢と言われた資金をシーズン途中に使い切ってしまう始末。昨年の成果はもはやホンダを獲得できたことだけ、と言っても過言ではないでしょう。
 昨年の上層部の揉めごとも、一応は決着。ホンダを得た今年は、昨年のドン底からの飛翔を期しています。(僕個人として思うところの)醜かった昨年のハーフ&ハーフカラーも、ラッキーストライクを中心とした、日の丸を彷佛とさせるシンプルなカラーリングに変更されました。

 ただ、無謀だった昨年のツケが回ったようで、予算はなんと昨年の半分だとか...。なんとも前途多難といった感じですね。

front


オーバービュー

 さて、マシンを見てみると、パッと見、ほとんどBAR-01と区別がつかないほど変化のない全体的なフォルム。
 う〜ん、これは見るからに「信頼性第一」でマシン作りをしたのが明らかですね。まあ、今のF-1界ではエンジン性能を占める割合が大きく、たしかに「壊れないシャシー」さえあれば、ホンダパワーのあるBARはある程度の成績をおさめられるでしょう。でも、なんかつまらないですよねぇ...。
 さらに、全体的にどうもいかにも「コンピュータで設計しました!」と言わんばかりの無機的なラインが目立ちます。なんかデザイナーの個性が全然見られないマシンですね。


マシン前半部分

 さて、マシンのいくつかのパーツはラウンチ時には隠していたようで、その後の南アフリカ、キャラミでのテストでそれらが装着されました。今回はそれらを含めて検証していきましょう。

 ノーズの先端が多少細くなり、その分強度を出すためにフロントウィングのステーが多少丸みを帯びたものになりました。マクラーレンMP4/14やらベネトンB199やらと同じですね。
 う〜む、なんだか、ノーズ下とフロントウィングまでの隙間が非常に狭く、疑問が残る形状です。フロントウィングの翼端板は昨年の独特のものから、最新トレンドの、複雑な3D形状のものに変更されましたね。この点はようやく他チームに追い付いたと言えそうです。

 ディフレクター(*)も昨年と同様の、ちょっと複雑なラインを持つものを継承。しかしながらザウバーを起源に、フェラーリが採用してマレーシアGPで大騒ぎとなった先端トレンドの三次元タイプは採用していません。

monocock
BAR02のモノコックと
ディフレクター

 次はモノコック(*)。
 これもBAR-01から大きな変更がなく、前面のバルクヘッドがホームベース型をした、いわゆるMP4/13タイプで大きな変更なし。サスペンション系(*)を見ると、今や完全にトレンドとなったアッパーアームと分離したタイロッド(*)、それに水平配置のトーションバーサス(*)も継承。
 ここもやはり攻めが足りないように見えます。ただ漫然とレギュレーションどおりの寸法で作ったって感じで。もはや他チームでは当然となった、「フィンを立ててでもさらに低くしよう!」という意識が見えませんね。

 で、良く見るとアッパーアームのフロントレグが上から見ると湾曲してます。恐らくレイアウトとジオメトリーの要求を両方満たすために生まれた手法と思われますが、昨年スチュワートなども取り入れていました。実はホンダのプロトタイプRA99もやってました。

 インダクションポット(*)を見ると、ちょっと太くなって無骨な印象になりましたね。吸気効率の最善化を図ろうとしてるようです。


マシン後半部分

 サイドポンツーン(*)に目を移します。全体的に見ると、多少高くなり、BAR-01が後半戦に採用したフェラーリF399風の段差はなくなりました。

side-pontoon
サイドポンツーン

 前端部分は、スチュワートやらフェラーリあたりがオリジナルのラジエター吸入口が少し高くなったトレンドを導入。マシン底部を流れる空気に影響があると思われます。
 インテーク上部を見ると、なんだかカウルの隙間が目立つなぁ。あまり細かい部分まで神経が行き届いたマシンとは言えなそうです。

 ポンツーン後半部分は多少丸みを帯びて、平面状だったBAR-01から大きく変わっています。スタイル的にはまさにマクラーレンMP4/13と同じ思想が見て取れますが、これがなんとも不自然で無機的で、いかにも「コンピュータでデザインしました」って感じに見えますね。なんだこの中途半端なエッジは (^^;。
 そこにとりつけられるフィンは、スチュワートSF-03や昨年のザウバーC17のように、サイドの空気を跳ね上げるタイプに変更。キャラミではプロスト風の二枚羽のものも試していましたが、これらもなんだかまだ洗練しきったものには見えません。
 さらに下部のコークボトル(*)の絞り込みも他チームに比べるとまだ甘いですね。あまり空力的な洗練が進んでいないように見受けられます。


総括

 さて、こうして見てきたように、私個人としては、はっきり言ってBAR-02は「期待外れ」です。
 そりゃもちろん、昨年あれだけ信頼性が低かったわけですから、まず第一は信頼性を確保して、ホンダのハイパワーを生かすデザインをするのは当然です。
 しかし、恐らくF-1界でも復帰後いきなりトップクラスの出力を絞り出すであろうホンダエンジンを得た今年は、間違いなくBARにとってはチャンスの時です。だからこそ、もっとマシンにも「攻め」の姿勢が欲しかったです。

 とりあえずテストでは大きなトラブルもなく周回できたようで、レイナードのデザイン陣の狙いはまずは達成されていそうな雰囲気です。とりあえず無難にレースを走りきれるマシンでホンダのハイパワーをもってすれば、かなりポジションアップすることは確実です。コンスタントに入賞圏内には顔を出せるでしょう。

 でも、僕はこのマシンが優勝するとは、とても思えないです。いくらホンダエンジンが載っていても、マシンがこの様子だと、どれだけヴィルヌーブがアグレッシブに攻めたとしても、とてもマクラーレンやフェラーリを破ることは無理ですね(断言 (^^;)。表彰台がいいとこでしょう。


 なんだか超酷評でしたが...やっぱりホンダが載るからには、いいマシンであって欲しい!期待の裏返しってやつですね。

< Benetton Williams >
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