Mild Seven Benetton
B200

(lauched on 17th.Jan)

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チーム状態など

 まず先陣を切って正式発表したのはベネトン。
 弱体化が進むベネトンは黄金時代からチームを支えたマネージャ、ジョアン・ヴィアデルプラットがついに脱退。もはやメーカーワークスの企業戦争と化したエンジンも、ワークスを獲得できずにいます。マシンのカラーリングも、年を追う毎にシンプルというか、寂しくなっていっています。

 さて、発表場所はテスト先のバルセロナの美術館。実物大F-1モニュメントの裏に仕掛けられたB200がくるりと回転して華々しく登場!...という手筈だったのですが、その瞬間に点火される予定だった花火が上がらない...。なんとも先が思いやられる発表会...。

side


オーバービュー

 さて、発表会はともかくとして肝心なのはマシンの方です。
 このマシンのデザインは既に脱退した前任者ニック・ワースの基本プランに、元ティレルやホンダにいたティム・デンシャム(夏に加入)のアイディアを注入して完成したといいます。ただ、テクニカル部門の指揮はパット・シモンズが一貫して執り行っています。

 ツイン・クラッチやフロント・トルク・トランスファー(FTT)などの新機軸を意欲的に採用した昨年のB199は、それらをモノにできなかったばかりか、重量もサイズも一流レベルにはなく、大失敗作に終わりました。
 今年はその教訓からか、「基本に立ち返ったレーシングマシン作り」を目指したといいます。その言葉どおり、非常にシンプルで、コンサバティブなマシンになりましたね。昨年長過ぎたホイースベース(*)は20cmも短くなったとのことです。
 ただ、他のチームと比べ、バランス的にまだリヤが長く見えます。恐らくは、スーパーテックエンジンのサイズと、重量のせいでしょう。そのため、フロント部分の空力は整理されきっておらず、サイドポンツーン(*)も不必要に長くなっている印象を受けますね。


マシン前半部分

monocock
ベネトンB200のモノコックと
ディフレクター

 まずモノコック(*)を見ると、丸みを帯びた独特の形状は昨年と変化がないように見えますが、FTTの廃止に伴い、断面積は相当削られ、高さは低く、断面形状も五角形に近い、マクラーレン風のものに変わっています。さらに、重量は10kgも軽減されたということですね。

 んで、モノコック横のクラッシャブルストラクチャーを兼ねた「ボーダーウィング」と呼ばれる空力パーツは廃止され、それに伴って流行の巨大なディフレクター(*)が採用されました。

 ただ、ザウバーが先駆け、昨年フェラーリがマレーシアで失格騒動となった3Dタイプには手を出していませんね。まあ、非常にオーソドックスではあるのですが、せっかく最先端の風洞を持っている割には、あまり積極的なトライが成されている印象を受けませんね。
 フロントの空力全体を見ても、前述のように整理されきった印象ではなく、まだまだ洗練の余地があるように感じました。


マシン後半部分

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サイドポンツーン

 「ボーダーウィング」廃止に伴い、サイドポンツーンも前進し、長くなりました。その前端の形状は実にオーソドックスで、他チームに見られるような下縁部分の形状の工夫も、なにも見ることはできません。
 ただ、後端のコークボトル(*)は非常に深く絞り込まれており、ディフューザへ多くの空気を送り込みそうです。
 その上のフィンは微妙にマクラーレン風の3次元形状になってはいますが、非常に控えめですね。あまり冒険をしたくないというか、迷いのようなものすら感じますね。

 しかしながら、ツイン・クラッチの廃止により、新型の6速ギヤボックスは非常にシンプルで小型化されたようで、それはリヤカウルの徹底的な低さにもつながっているようですね。


総括

test

 全体的に見て「レーシングカー作りの基本への回帰」というのは非常にシンプルな作りを見るに、ある程度達成されているように感じます。ただ...あまりにもコンサバティブで「攻め」の姿勢というのは感じられません。設計思想としては古いものであるとさえ言えます。エンジンがワークスでない今年、さらなる苦労は否めません。昨年と同じ成績を収めるのは非常に困難と言えます。

 テストでも、驚くべき信頼性は発揮しているものの、速さは見られないようです。やはり、上位が崩れるのを待って入賞を拾う戦いになるでしょう。

 ただ、チームはエンジンに関して含みのある発言をしています。今年はルノーの技術・資金投下はさらに大きなものとなるようです。そして、近いうちのルノー復帰も現実味を増してきているようですね。

 ところでこのチームのテストドライバーには、昨年のフォーミュラニッポンランキング3位光貞秀俊が起用されました。全戦で完走した安定性と速さは注目です。
 ただ...。どうもスポンサー絡みという印象が強く、彼にとって本当に実りある仕事になるかどうかはちょっと疑問ですね...。残念ながら。
 昨年のジョーダンのテストドライバー、中野信治もそんな感じでしたから...。

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