Vol.10:
Q&A Specail Issue
(written on 30th.Mar.1998) |
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前回、前々回のセミオートマ/フライ・バイ・ワイヤ編に対しては、こちらが想像しなかったほど反響が大きく、たくさんのメールをいただきました
ってなわけで、早速どうぞ〜! まずは、岩井慎一さんからの質問 「私は、セミオートマが出る以前からレーシングマシンはバイクと同じタイプになっていたとの認識だったのですが、実際の所どうなんでしょうか。」 なるほどぅ。
この件に関して、F-1オンリー馬鹿うんちくT.Nは結構いい加減な知識しかありませんでした。
確かにシーケンシャルギヤボックスというのは、ドライバーの操作は楽になるし、シフト操作も速くなる、メカ的にもシンプル、と長所が数多くあります。 しかし、レーシングカーのシーケンシャルギヤが広まったのは、実は最近の事なんです。
シーケンシャルは確かにメリットの多い方式ではありますが、6速から2速に落とす時などに、「飛ばしギヤ」ができない、また、信頼性が確立されていなかった、といったデメリットがあります。そのため、特に耐久レースなどでは採用するのが遅かったようですね。
さて、F-1でシーケンシャルギヤを初めて導入したのは、第8回で触れたように'91年のウィリアムズFW14のセミオートマが最初というのは間違いないようです。
で、その後'92年にジョーダンがセミオートマへの移行の過渡段階として、マニュアルのシーケンシャルギヤを投入。翌年からはセミオートマになっています。ティレルなども同様の経緯を辿ったようですね。
で、フォーミュラ・ニッポン(以下F-N)では'94年のNOVAチームのローラマシンが最初に導入したようです。
余談ですが、'96年シーズンくらいまでのF-Nのトランスミッションはシフトアップ時にアクセルを戻す機構や、シフトダウン時のブリッパーなどをフル装備しており、スタート時以外はクラッチ操作のいらない「ほぼセミオートマ」状態だったようですね。(もりずみさん情報 (^^;)
...と、受け売りばっかりの答えになってしまいましたが、いかがでしょうか?今ではF-3などの下位カテゴリーでもシーケンシャルは基本のようです。 さて、引き続いては、海老沼茂さんからのメールから。 これは質問と言うよりも、僕が教えていただきました(おいおい、今回は教わってばかりだぞ、インチキ教官 ゞ(-_-))。なかなか面白いお話だったので、掲載させていただきます。
「いすず自動車からオリジナルのFFジェミニが出ていたころ、"いすずNAVI5"と呼ばれたトランスミッションがありました。
ははぁ〜。こんなトランスミッションがあったとはねぇ。 「一部の人(理科系の人に多かったそうです)には受けたものの、普通の人には「不気味」と受け止められ、いすず自体が乗用車の生産から撤退したために、絶滅してしまいました。」 おやおや、残念ですね。しかし、理系の人間に受けがいいというのはよくわかる話ですねぇ。僕が理工学部ですから... (^^;。 「昨今のセミ・オートマの流行、乗用車へも来てますよね。」
でも、いすゞのものに比べると邪道ですよね。あれはトルクコンバータを積んでるからほぼ100%オートマなのに、ギヤを代えるタイミングだけドライバーが指定できるって事ですよね。
「"いすずNAVi5"を開発したみなさん、どう思っているのでしょう。10年(もっとか?)早すぎたのかもしれませんね。」 トルコン積んでないわけだから、燃費は良かったんでしょうねぇ。なんか硬派でいいですね。 いすゞは'91年頃、ロータスと組んで12気筒エンジンを開発するという話もあったんですがねぇ。いつの間にか立ち消えしてしまいました。
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お次は加茂靖彦さんからのメールです。 「航空機のフライバイワイヤは、やはり最初は軍事目的でした。電気信号による姿勢制御により、航空機ではどのような事ができるかというと例えば、 ・機首を上方に向けずに(水平のまま)もしくはやや下向きにしたまま上昇下降 ・機種を右左や上下に向けたまま水平飛行 ・ロールせずに左右旋回
といった人間が操作するには難しい姿勢制御が可能となります。
そうですね、確かに航空機のフライ・バイ・ワイヤの意義から考えると、アクセルのみを電子化したF-1のフライ・バイ・ワイヤは結局のところ「電子スロットル」なだけであり、航空機のフライ・バイ・ワイヤに比べると、随分と効用が限定されています。 ただ、別にF-1のフライ・バイ・ワイヤが、航空機のそれに要求されているものを満たす必要性は必ずしもありませんよね?
おそらくF-1で初めてフライ・バイ・ワイヤと、その名称を導入したマクラーレンも、スロットルを「電子でコントロールする」という部分の共通性から航空用語を拝借しただけで、何も、航空機のフライ・バイ・ワイヤをそのままF-1にコピーしようとしたわけではないと思うのです。
まあ、そう考えると、記事での僕の書き方はまるでF-1のフライ・バイ・ワイヤは、航空機のフライ・バイ・ワイヤからの応用、ととられても仕方のない書き方だったかもしれませんね。 やはり本来F-1では「フライ・バイ・ワイヤ」ではなく、F-1に特化された「ドライブ・バイ・ワイヤ」と呼ぶべきなのかもしれませんね。 「私F−1のレギュレーションには詳しくないのですが、これは禁止になっているのでしょうか?ステアリングのフライバイワイヤ化によるコンピュータコントロールによる4輪操舵と従来のアクセルの電気信号化とを組み合わせれば、かなり複雑な制御もできるのではと思うのですが。」 おっしゃる通りです。ただ、そのメリットというのは、エンジニアリング側から見た場合ですよね。 ここで、F-1のスポーツ性とエンジニアリングとのバランスというF-1にとって不朽の問題が浮上するわけです。
確かにステアリングのフライ・バイ・ワイヤ化は非常に高度なマシンコントロールを実現するでしょう。
「だったら現在の電子スロットルオンリーでも大差はないじゃないか!」
全くその通りだとも言えると思います。しかし、F-1は「世界最高のドライバーの対決の場」でもあり、「世界最高の技術競争の場」でもあるのだと思います。
で、今はドライバーよりもマシン側の進化のスピードが速く、重視されている傾向があるというのも、また事実なのでしょうね。
.....。
ステアリング舵角の制御系へのフィードバックはどうやら禁止されているようです。
それから、4WSも'93年を最後に禁止されています。と言うより、ステアリング舵角のフィードバックができないなら4WSなんてできないし、舵角フィードバックの禁止によって4WSを禁止していたかもしれません(すいません、未確認です... (-_-ゞ)。 というわけで、結論としましては、F-1における電子ステアリングの可能性はまずあり得ないだろう、ということです。 |
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