Specail Edition:
Isuzu NAVi5
(written on 3rd.Mar.1998) |
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今回はF-1から大幅に脱線し、番外編として、いすゞのNAVi5というトランスミッションについて取り扱う事にいたします。
そもそもこの"U-N-C-H-I-K-U Lite"でいすゞNAVi5を取り上げる事になったのは、 第八回のセミオートマの記事を読んで感想を送って下さった海老沼茂さんのメールがきっかけでした。
「いすず自動車からオリジナルのFFジェミニが出ていたころ、"いすずNAVI5"と呼ばれたトランスミッションがありました。
これを 第十回のQ&Aコーナーに掲載したところ、非常に多くの反応をいただきました。 鈴木さん、角谷弘樹さん、飛鳥浩二さん、鯉沼さん、石田勇治さん、坂口さんと、非常にたくさんの人からいろいろ教えていただきました。中でも特に匿名希望のOさんはNAVi5以外に関しても、非常に丁寧な解説のメールを下さいました。 皆さん、本当にどうもありがとうございました。 さて、本題に入ります。
まず、そもそも「いすゞNAVi5」って?...これはトランスミッションの名前です。
初代FFジェミニ(マイナーチェンジ後)と初代アスカに搭載され、「オートマでもない、トルコンでもない」と宣伝されたようですね。 このNAVi5はかなり凝ったシステムだったようで、セレクタを4から2へとシフトしてもちゃんとエンジンの回転を合わせて4速から2速へと変速できたり、坂道で停止したときに自動的にパーキングブレーキを働かせて動かないようにし、発進時に自動的にブレーキを解除するといった機構まであったそうです。 しかしながら、これらの凝った機構のために、かなりのオーバーウェイトになっていたのもまた事実のようです。 また、ジェミニやアスカといった標準的なグレードの車種のみに搭載したものの、そうした車のユーザーにそれほどの機構を求める人が少なかった事、さらには通常のオートマと比べても高価だった事などの原因が重なり、結局NAVi5は、その2機種のみの採用に終わり、さらには、いすゞ自体が乗用車の生産から撤退したために、絶滅してしまうことになります。 しかし、もともとこのNAVi5はトラックに搭載される事を想定して開発されたシステムなのだそうで、実はNAVi5は6速仕様のNAVi6と名前を変えて「エルフ」などのトラックや、バスなどに採用されているようです。 これは、シフトノブにリミット型のスイッチが内蔵されており、ノブを握ってシフトを動かすとスイッチが入り、クラッチを切ってくれるようです。さらには、スイッチボタン一つで、通常のMT車にもなるそうです。 さらには、この機構だと、通常のMTよりクラッチにかかる負担が少なく、15万キロ位持つそうです。
トラックのオートマがなかなか普及しないのは、実は燃費というよりも、4トンクラスで60万ほどもある価格差だと言われています。
そもそも、トルコン=燃費が悪いという構図には誤解があって(実はそうOさんに僕が叱られたのですが (-_-ゞ)、実はオートマもしっかりとチューニングすれば、人間に全操作を任せることによる悪化分はキャンセルできます。 もちろん、機械的な伝導効率はマニュアルには及ばず、それは全開率の高いF-1では致命的になりますが、一般道を走る事を考えれば、それは十分に相殺されるというわけです。 ただ、その能力を引き出すためには、オートマ用にチューンしたエンジン、エンジンコントロールのセッティングと揃えなければならず、それが価格差となって表れるわけです。 いすゞNAVi6ならば、2トントラックで25万だった価格差が、15万円高ほどの値段で装備できるそうです。 というわけで、現在はNAViシリーズはトラックやバスでのみ現存するトランスミッションとなっているようです。 しかしながら、このシステム、先ほども申し上げたように、非常にセミ・オートマに酷似したシステムですよね。スポーティーな車に搭載させてもなかなか面白そうなシステムだと思うのですが....。 とは言え、このNAVi6、「トラックやバスはマニュアル」という常識を覆すシステムになるかもしれませんね。 |
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