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							 つまり、セミオートマでは、指で押すという操作(例えば右のレバーを押せばシフトアップ、左のレバーを押せばシフトダウントいうように。この操作方法はチームによってまちまちです。)を電気信号として取り出し、コンピュータを介して油圧のアクチュエーターがギヤを変えるという仕組みになっています。
						 
							 クラッチも、スタート以外では全てコンピュータが操作してくれるため、ドライバーはクラッチ操作もいりません。
						 
							 つまり、ドライバーとトランスミッションの間に、電子とコンピュータが介在するところ、そしてクラッチ操作がないことがマニュアルと大きく違うわけです。
						 
							 それで何が嬉しいかということを箇条書きにしてみます。
						 
							
								人間の腕ではなく、アクチュエータがギヤチェンジを行うため、素早いシフトアップ/ダウンができるため、クラッチを切っている時間が減り、エンジンの動力の無駄を極力減らすことができる。
								 
									#F-1の場合、これが一番の狙いだと言えます。
									
								
								コンピュータがギヤ側とエンジン側の回転数を計算し、エンジンが壊れる(オーバーレブする)ようなタイミングでギヤチェンジを行わないようにするため、エンジンの寿命が延びる。
								 
									#'93年を以てアクティブサスや、ドライビングのアシストとなる、トラクションコントロールやABSなどのハイテクデバイスが数多く禁止された時、ドライビングの大きなアシストとなるセミオートマが禁止されなかったのは、エンジンの寿命が延びて経費の削減になるからだともいわれています。
									
								
								マニュアルシフトで7速以上にすると、シフトコラムが左のようなものになってしまい、上側に4つもギヤがあるため、操作が非常に煩雑になり、ギヤチェンジ時のミスが爆発的に増えるが、基本的に「シフトアップ」、「シフトダウン」の操作しかないセミオートマならば7速も可能になる。
								 
									#'89年からの自然吸気時代に向けて、ピーキーなV12エンジンを投入予定だったフェラーリが特にセミオートマ投入を急いだのはこの理由も大きかったのです。
									
								
								ステアリングから手を放すことなく、両手で握ったまま小さなレバーでギヤチェンジを操作することができるうえ、クラッチ操作もないので、ドライバーの負担が減る。
								
								また、そのおかげでドライバーが一番忙しいといわれるスタート時に的確なギヤチェンジと、自由度の高いハンドリングでロケットスタートができる。
								 
									#フェラーリが初めてセミオートマを投入したレース、'89年のブラジルGPで3番グリッドだったベルガーがロケットスタートして、ポールのセナと1コーナーで絡んだのが非常に象徴的でした。
									
								
								コンピュータが介在しているので、あらかじめ、あるコーナーでの操作に合わせて5速 => 2速のような操作をボタン一つで自動で行う「プログラムシフト」が可能。
								 
							 以上のように非常に多くの利点があると言えます。
						 
							 市販車のオートマチックトランスミッションとの違いは、市販車がドライバーの負担を減らすことにあるのに対し、レースマシンのそれはかなりの部分が性能の向上が狙いであることが大きな違いです。
								市販車のオートマはクラッチがないかわりに「トルクコンバータ」という部品が使われていますが、これは非常にエンジンのパワーを無駄にするものなのです。オートマの車がマニュアルよりも燃費が悪いのはこのトルコンのせいです。
 そしてこれはレースにおいては致命的な性能低下になることはおわかりになるでしょう。
 また、F-1ではレギュレーションでフルオートマは禁止されています。
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