Winfield Williams
FW21

(lauched on 25th.Jan)

< Sauber Prost >

 屈辱のシーズンを送ったウィリアムズチーム。
 天才アドリアン・ニューウィーを失ったチームは、溝付きタイヤの解析を時間をかけて行いFW20を作り上げましたが、重量が重く、その後大きく特性が変更されたグッドイヤータイヤに合わせてバランスを変更するのが非常に困難になってしまったのでした。
 結果、昨年途中から大幅な改良が加えられ、最終的にはどのチームよりも長い異常なホイールベースを持つマシンとなってしまいました。

 2000年からのBMWとのタッグを控え、再起を期す今年、パトリック・ヘッドの監修のもと、ギャビン・フィッシャーとジェフ・ウィリスの開発陣が作り上げたFW21はかなりの意欲作となりました。

FW21 launch

 まず、カラーリングが非常にマトモになりました (^^;。
 ラウンチ時の背景の砂漠は相変わらず謎ですが (。_゜☆、赤に黄色と青のブラシカラー、それに白の面積が増えて、圧倒的に精悍に生まれ変わりました。

 そして、マシンの方も過去の遺産の固まりのようだったFW20からほとんど全てが改修されています。
 ニューウィーの影響が多少残り、かなり中途半端な印象だったFW20に比べ、FW21は遥かにシンプルでコンパクトになったことが一目でわかります。ホイールベースも、異常だった昨年最終型よりは短くなったようです。

 驚くのはサイドポンツーンの小ささです。昨年よりも大幅に低く短くなっており、ギリギリまでラジエター容量を削ってきた事がわかります。これで重量を大幅に削減するとともに、モノコックも延びた事でフロントまわりの空気の流路を確保し、空力性能を大幅に引き上げることができたはずです。

 一方で後端のラジエター排出口は残されました。う〜ん、現在のトレンドはこの空気をいかに他の空気の流れと分けて排出するかに向かっているのですが、ウィリアムズは逆に、コークボトル内へ思いっきり排出する方法に固執しました。
 ま、確かに高速の空気流において、空気の粘性によって発生する境界層と呼ばれる渦を排気によって防ごうと言う狙いがあるようなのですが...。

 さて、ニューウィーの影響を最も引きずっていたモノコックのデザインは低く、平べったいものになりました。で、そこに収められたサスペンションは皮肉にもニューウィーが新天地で採用した、前回解説したトーションバー横置きレイアウト。しかしながら、最先端のトレンドに追い付いたと言えるでしょう。
 ただ、低くはなったのですが、多少太さが気になるデザインでもあります。ニューウィーのように、フィンを立ててまで低めようとはしていませんね。また、ノーズの先端は若干しゃくりあがっており、このあたりもトレンドとは離れていますね。


FW21 in test

 マシンのリヤ部分の外見はFW20を受け継いだ印象で、多少ずんぐりむっくりした感じがあります。
 しかし、その内部...ギヤボックスは長年使用された信頼性の高い超小型横置きギヤボックスから、最新トレンドの縦置きギヤボックスに変更されました。細みの縦置きにすることで、マシン最後部の空気の流れを整えるとともに、アルミニウム製とすることで、よりシビアになった熱対策を解決しようとしているようですね。


 全体的に見てこのマシン、かなり独特のラインをしています、ニューウィーのラインが消えてウィリスの個性が出て来たと言えばそれまでですが、決して流行に流されない、というウィリアムズの職人気質も伺えて面白いところです (^^;。

 概ね好印象ではあるのですが、ただ、このマシンがフェラーリやマクラーレンと同レベルの争いをするとは思えません。ウィリアムズにしてはかなり攻め込んだマシンとなっていますが、まだまだトップ2ほど踏み込んだものではないように思えます。それに、スーパーテックのエンジンは基本設計が古いですからね...。
 結論的には、昨年よりは遥かにマシになるでしょう。しかし、力をつけたジョーダンのちょい下、ベネトンよりかは上、というのは今のところの僕の見解です。

 テストではBARをコンスタントに上回るタイムを記録し、同じエンジンながら貫禄を示していましたね。いくらBARがリッチだからと言って、さすがに彼らに簡単に抜かれるようなウィリアムズではないでしょう。
 ま、優勝1回できるかできないか、そんな感じかな?ドライバーラインナップも正直ちょっと不安... (^^;。

< Sauber Prost >

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