Mild Seven Benetton Playlife
B199

(lauched on 16th.Jan)

< Stewart Sauber >

 とうとう四強の座を追われてしまったベネトン。昨年前半は良かったのになぜ?
 それはやはり、シャシーの性能の限界が来ていたと言えるでしょう。B198はステップドボトム導入直後のB195を進化させてきたマシンでした。しかし、他のチームが急速に昨年からの新しいレギュレーションに対応していく中で、熟成され尽くしたB198で対応するのには限界がありました。これが昨シーズン後半の不振の原因でした。

 チームを率いていたデビッド・リチャーズは、チームの所有権を絡めたフォードとの提携を狙い、ベネトン一族の反感を買って離脱し、リーダーはモータースポーツ経験の全くないベネトンの末っ子、まだ20代のロッコ・ベネトンに。なかなかルックスも良いロッコさん。若さとルックスだけならF-1界トップのリーダーと言えそうです (^^;。真面目な話、その手腕は完全に未知数です。

 さて、マシンを見てみましょう。一見して丸みを帯びたデザインで、昨年からあまり変わらないように見えるニューマシン。しかし、良く良く見ると、どうしてどうして、デザイナーのニック・ワースのかなりの意欲作である事が見えてきます。

B199 launch

 まず、横から見ると、トレンドどおりに、かなりモノコックが長くなり、ホイールベースが延びている事が一目で分かります。ただ、モノコックは低さよりも、ノーズ下の空間を多く確保する事を狙ったようで、かなり高さを持っているものとなっています。ただ、先端はあまり高くありませんねぇ。
 モノコックが高いぶん、ドライバーの着座位置はあまり低くなく、インダクションポッドも流行の分離したものにはなっておらず、昨年と同じ形状ですね。よっぽどこの形状に自信があるんでしょうか?
 で、フロントウィングは昨年の後期型に似ていますが、恐らく完全な新型と思われます。ステーもマクラーレン風の丸みを帯びた強固なものに変わっていますね。

 ほんでもって、このマシン最大のトピックは、FTT(フロント・トルク・トランスファー)と呼ばれるフロントのブレーキシステムにあります。
 一見すると、アッパーアームとロワーアームの間にタイロッドがあるという流行の形状に見えますが、じつはタイロッドの後ろにさらにもう一本シャフトが隠されているのです。
 このシャフトはフロントタイヤとともに回転し、モノコックに埋め込まれたデファレンシャルギヤによって左右のタイヤの回転数を検出し、左右のブレーキバランスを調節しようというブレーキシステムだったのです。
 本来電気的な左右ブレーキバランスのアジャストは禁止されており、このシステムも是非が問われていたのですが、これは機械的なシステムによる実現であるという事で、合法であることが確認されたそうですね。

 ふ〜む、しかし、これだけの大掛かりのシステムで、どれだけの効果があるんだろう?今のところ、テストでは順調に走ってはいる様ですが、まあ、開幕戦でお手並みを拝見するとしましょう。

B199 in test

 で、マシンのサイドに目を向けると、昨年同様に、クラッシュテストに適合するための大きなフィンとディフレクターも健在。安全性の確保という点では疑問が残りますが、あくまでニック・ワースはこだわる様ですねぇ。
 このフィンとモノコックとの境目の部分の形状もかなりマニアックに凝った形状になっており、面白がらせてくれます (^^;。

 サイドポンツーンは随分高くなり、ラジエター吸入口にもスプリッターができました。そこからリヤに向かって大きく絞り込まれています。そのぶん、リヤタイヤ前のフィンが大きくなり、また絞り込みの形状などもマクラーレンに近い印象になりました。

diffuser of B199

 さらには、ディフューザもかなり大きくなり、マクラーレンやフェラーリのものに近い印象になりました。サイドディフューザのスプリッターも斜めになっており、最新トレンドのディフューザ、という感じですね。
 良く見ると、ドライブシャフトがギヤボックスのかなり高い位置から出ています。恐らく、デファレンシャルを高い位置に置く事で、相当のギヤボックスの小型化を図ったのだと思われます。それが大きなディフューザの導入にも繋がったのでしょうね。

 さらに、このマシンは「デュアルクラッチシステム」を導入してるようです。
 これは二つのクラッチを用意し、常にどちらかのクラッチを動作させておく事で、連続したシフトアップの時の駆動ロスを最小限に抑えるシステムのようですね。かつてポルシェが一度実用化したきり、「幻のシステム」と言われていたものです。

 一見すると発展型に見えるB199ですが、どうしてどうして、かなりラジカルな進化を遂げたマシンとなっています。テストでは今のところ目を見張るようなところはありませんが、再びトップグループに返り咲けるだけの道具は揃えたと言えそうですね!

< Stewart Sauber >

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