Vol.7:
Ventury-car (2)
(written on 26.Jun.1997, corrected on 28.Sep.1998) |
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ピーター・ライトによって制作された、逆翼状サイドポンツーンを持つマシンがなぜ大きな活躍を見せることが出来なかったのかといえば、所詮それが翼に過ぎなかったからです。 |
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ウィングの周りの空気の流れ |
どういうことかといいますと、翼はその上面と下面両方に空気が通り、上と下に別れた空気がウィングの末端でまた合流する必要があるからです。これによって下面の流速が速くなって負圧が発生することで初めてダウンフォースが発生するのです。 |
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ですから、マシン全体をウィングと見立てたところで、マシンにドライバーが乗り、エンジンが搭載されている時点でこの上下の空気の合流は実現できず、理想的なウィングには程遠いものしか作りようがなくなってしまうのです。 |
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ベンチュリー効果を 利用した霧吹き |
結局、ロータスがマシンに取り付けたのはウィングではなく、「ベンチュリー」という構造物でした。
つまり、勢い良く流れる空気の通路の片側をマシンの底、もう片側を地面と見立て、マシンと地面を引き寄せる力が発生するようにしたわけです。 |
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この場合のベンチュリー効果は地面との間に働く力であるから「グランドエフェクト」の一種ということになります。 ここで重要なのはベンチュリーが、その空気の流路が密閉されていて、流入する空気と排出される空気の量が同じであれば良い、という点です。つまり、路面に面した下面の空気の流路を密閉さえすれば、ウィングのように上下の空気の流れを確保する必要がなかったということです。 ロータスの面々が、ベンチュリー効果に気付いたのも偶然からでした。しかしそれは徹底した風洞実験からもたらされたものでした。
なにはともあれ負圧部を徹底的に遮断すればダウンフォースが増えることを知ったロータス陣営では、ベンチュリー構造を組み込んだ大きなサイドポンツーンの側面をスカートで覆うことにするとともに、少しでもベンチュリー部分を多く取れるよう細身のモノコック(*注)も平行して開発していました。 |
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ティレル008の バスタブモノコック |
このころのモノコックは燃料タンクを収めた大きな二つのチューブをバルクヘッド(隔壁)でつないだツインチューブモノコックが主流でした。
十分な強度を得られるし、重心が低く取れるメリットがあり、多くのチームが採用していましたが、一方大変幅が広かったのです。 |
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しかし、ロータスでは細身でかつ、丈夫なモノコックを作るため、このツインチューブモノコックを捨て、十分な強度を確保するために上面も覆ったアルミハニカムのフルモノコックを制作したのです。また、サイドポンツーンへの空気を乱さぬよう、フロントサスペンションもインボードに収めました。 |
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初のベンチュリーカー ロータス78 |
こうして完成した初めてのグランドエフェクトカーロータス78は'77年のGPシーンに投入され、大きな衝撃を以て迎えられたのです。 しかし、人々がグランドエフェクトカーの脅威を本当に知るまでにはまだ時間が必要でした。
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