'68年にウィングが初めてF-1に登場し、その効果をまざまざと知った各チームのデザイナー達は早速自分達のマシンにもウィングを取り付け、より大きなダウンフォースを得ようと工夫を凝らしてきました。
具体的には、ボディ付近を流れる乱れた空気を避けるため、より高い位置へ取り付けるようになっていったのです。当初のロータスのようなリヤだけではなくフロントウィングまでもステーでハイマウントにするチームも見受けられました。
しかし、あまりにも高く設定されたウィングは様々な弊害をもたらし始めます。
幸いなことに死亡事故は発生しなかったものの、ウィングやウィングステーが強度不足で壊れ、突如ダウンフォースを失ってクラッシュする事故が多発したのです。
特に'69年のスペインGPでは上位を走行していたロータスのグラハム・ヒルがウィングを折ってリタイヤし、続いて同じくロータスのヨッヘン・リントがウィングの破損が原因でクラッシュし、負傷してしまったのです。
これらはウィングのステーをリヤのアップライトに取り付けていたことから、路面の衝撃が直接ウィングにかかっていたことが問題だったのでしょう。もともとウィングにはダウンフォースによって大きな力が掛かっているのですから。