エンジン特集の第一回です。
今回は、エンジンの基本的なメカニズムを述べるとともに、現在F-1で主流であるエンジンに絞っていくという展開にしようと思います。
自動車に使われているエンジンの中で主流なものは、石油を原料とした液体燃料を気化させ、これを空気と混合したものを燃焼し、その膨張する力を動力として取り出す内燃機関です。
よーするに、ドッカ〜ン (。_゜☆という爆発の勢いをうまいこと動力として利用しようじゃないの、ってことですね。
内燃機関は、燃料の種類によってガソリンエンジンとディーゼルエンジンに分類することができます。
ガソリンエンジンはガソリン、ディーゼルエンジンは軽油を使用します。
ガソリンと軽油を比べると、ガソリンスタンドの価格表を見ても分かると思いますが、軽油のほうが価格が安いです。ただ、これは日本の税金の関係によるもので、原価自体は大して差はありません。成分自体も、大きな違いはないんです。
ただ、ガソリンのほうが沸点が低く、気化しやすく燃えやすいので、電気火花で火をつければ燃えます。それに対し、軽油はさらに強力な火をつけるか、温度が高くなければ燃えません。
そこで空気を圧縮して高温にし、そこに軽油を噴射して発火させるという特許をドイツ人、ディーゼルがとりました。そこで、この手法を用いた軽油のエンジンをディーゼルエンジンと呼びます。
しかし、ディーゼルエンジンは高圧なため、より強度が必要なこと、強力で正確な燃料噴射を行う装置が必要なこと、振動・騒音が大きいことなどのデメリットがあるため、大形のダンプカーや船舶などに利用され、乗用車の主流はガソリンエンジンとなっています。
レーシングカーとしても、大きくて重たく複雑なディーゼルエンジンよりも振動もより少なく、シンプルなガソリンエンジンのほうが向いています。
ガソリンエンジンはさらに、レシプロエンジンとロータリーエンジンに分けることができます。
レシプロエンジンはシリンダー(筒)の中を動くピストンの往復運動(レシプロケーション)をクランク機構によって回転動力として取り出します。
それに対し、ロータリーエンジンはクランクを用いず、燃焼による膨張力を直接回転動力として取り出します。そのため、レシプロエンジンよりも無駄が少なく、小形・軽量、振動も少ないエンジンを作ることが可能です。
よってレーシングカーのエンジンとしても非常に可能性を秘めていると言えますね。
しかし、現状ではロータリーエンジンを量産しているのは日本のMAZDAのみです。ロータリーは大きなメリットを持っていますが、レシプロエンジンも長い歴史の積み重ねによるノウハウで、ロータリーエンジンと同等のものを作れるようになっています。
さらに、ロータリーエンジンを量産するためには、全く新しい大規模な設備投資が必要になること、特許の問題があることなどから、ロータリーエンジンは広く普及するには至っていません。ちょっと残念ですねぇ。
ロータリーエンジンは'91年、そのMAZDAによってルマン24時間レースに優勝しました(これはルマンでの日本車唯一の勝利となっています。ついでに、ジョニー・ハーバートがドライバーのひとりでした (^^;)。しかしながら、このルマン、そしてF-1でも現在ではロータリーエンジンは禁止されています。
よって現在主流なエンジンはレシプロエンジンです。
レシプロエンジンはピストンが往復するシリンダー(筒)に、気化したガソリンと空気の混合気を吸入し、それを圧縮し、燃焼(膨張)、燃焼ガスを排気する、という作業を繰り返し繰り返し行うことで、ピストンをの往復運動をクランクを介して回転動力を取り出すわけです。
そして、この作業を回転一回につき、全て行うのが2サイクルエンジン、1回転目で吸入と圧縮、2回転目に燃焼と排気を行うのが4サイクルエンジンです。
2サイクルエンジンは4サイクルと違い、吸入・排気の弁はピストンが兼ねる仕組みになっているなど、構造がシンプルで軽量・コンパクトなエンジンを作ることができます。また、1回転につき1回燃焼(膨張)が起こるため、大きな出力を得られます。
しかし、吸入と排気を同時に行うために、せっかく新しく吸入した空気の一部が燃焼ガスに混じって排気されてしまい、無駄になってしまいます。
そこで、多少燃費が悪いが、小形でハイパワーなため、オートバイやボートなどに使用されてきました。
その中の開発で、最近は電子制御技術の発達により燃料の無駄を限り無く小さく抑えられるようになってきました。
しかしながら、自動車ではやはり4サイクルエンジンが主流となっています。F-1でも4サイクルレシプロエンジンがレギュレーションによって規定されています。
では4サイクルエンジンの、その4過程を説明していくことにしましょう。
-
吸入:ピストンが下がるとともに、吸気バルブが下がり、 混合気が吸入される。
-
圧縮:吸気バルブが閉じ、ピストンが上がってきて、混合気が圧縮される。
-
燃焼(爆発):圧縮された混合気にプラグで点火し、膨張させる。
この力がピストンを押し下げる。
-
排気:排気バルブが空き、ピストンが上がってくることで、燃焼ガスが排出される。
ってな感じでこの4つの操作を1分間に実に数千回も行っているのが4サイクルエンジンなのです。
この中で実際に力を発生するのは、「3.燃焼」の部分のみです。それ以外の過程では、回転軸に取り付けられた「フライホイール」という部品の慣性によって回り続けるために、上のようなサイクルが可能になるのです。
どうでしょうか?エンジンがどうやって動力を取り出しているか、お分かりいただけたでしょうか?
Summaries of this issue
-
エンジンの中でも、自動車のものは燃焼による膨張する力を動力として取り出す内燃機関が主流である。
-
ディーゼルエンジンは空気を圧縮し、そこに軽油を噴射するというシステムなので、複雑で重くなりがちなので、レーシングエンジンには向かない。
-
ロータリーエンジンは膨張する力を直接回転運動に結び付けるため、メカニズムもシンプルで軽量コンパクトかつ高出力であるが、全く新しく大規模な投資が必要なこと、特許の問題などから普及するには至っていない。
-
レシプロエンジンはピストンの往復運動をクランクによって回転動力として取り出すものである。
-
2サイクルレシプロエンジンは構造が簡単なうえ、1回転につき1回燃焼するため、小形・軽量でハイパワーであるが、吸入と排気を同時に行うために、燃費が悪くなる。
-
4サイクルレシプロエンジンは吸入→圧縮→燃焼→排気というサイクルの繰り返しで回転動力を取り出す。現在の自動車エンジンとしては最もポピュラーなものである。
もちろん、F-1も4サイクルレシプロエンジンである。と言うより、レギュレーションで定められている。
|
ってな感じでっす。
エンジンの世界は実に奥が深い!(という僕は電気工学科出身 (-_-ゞ) まだまだ次回以降もエンジンについて取りあげていきます。
|