Lotus Renault
98T
ロータス加入2年目となる'86年。前年度と同じくジェラール・ドゥカルージュ率いるロータスの技術陣がセナに用意したマシン98Tは成功作と言える97Tの改良型という形態であった。
結局あまり効果の上がらなかったディフレクターやウィングレットを排するなど、空力面での改良が目立つ。しかしながら、外見上は区別できないほどほとんど変化がない。
一方、ワークスチームが撤退し、エンジン供給に専念するようになったルノーの新型EF15Bはかなりの意欲作であった。バルブスプリングとして、許容できる回転数が非常に高くなるニューマチック(圧搾空気)バルブスプリングを採用したのだ。
これは現代F-1としては必須装備となっているが、ホンダらがこれに追従したのはEF15Bの6年も後であったことを考えると、かなり先進的な設計であったことがわかる。
セナはロータス&ルノーが'86年シーズンでも最速であることを再び証明してみせる。開幕3連続を含む、前年度を上回る8ポールポジションをゲット。
だが、ルノーエンジンは相変わらず信頼性が上がってこなかった。また、ターボエンジンの出力を規制する積載燃料規制に対して、ホンダらほどうまく対応することができなかったのだ。
それでもセナは前年度と同じ2勝を挙げた上、前年の6回を大きく上回る10回の入賞、獲得ポイントも38から55にアップ。チャンピオン候補として大きな成長をみせた。それでも混戦の'86年シーズンでは前年度と同じランキング4位が精一杯であった。
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