Lotus Renault
97T
'85年、念願のトップチーム、ロータスのシートを手に入れたセナが乗ったマシンがこの97Tである。
デザインしたのはフランス人、ジェラール・ドゥカルージュ。リジェやアルファロメオなどに在籍した後、創設者コーリン・チャップマンを失って失意の底にあったロータスに加入し、獲得したルノーターボエンジンに合わせシャシーの戦闘力を高めてきたその手腕は高く評価されていた。
この97Tはフランス人の彼らしい捕らえどころのないラインのデザインだったが、ブラックのJPSカラーを纏うと、非常にシャープに映った。
モノコックはロータス独自のカーボンファイバーシートを折り畳んでいく方式で、非常に高い剛性を誇った。また、ターボの補器類のレイアウトやコークボトルなど、当時最強だったマクラーレンをお手本として取り入れられた上、ボーテックスジェネレータやディフレクターなどの独自の空力アイテムも精力的に開発が行われており、総合的なパッケージの戦闘力は高かった。
エンジンはF-1ターボエンジンの先駆者ルノーのV6ターボエンジンEF4およびEF15。コンパクトにまとまり、出力もトップレベルにあった。しかし、残念ながら信頼性が若干不足していた。
鋭さを備えた97Tを与えられたセナは先輩であるデ・アンジェリスを上回る活躍をみせる。3連続を含む7度ものポールポジションを奪い、このパッケージが最速であることを見せつけてみせた。
しかし、先述のようにルノーの信頼性が低く、ポールと同じ回数7回もリタイヤを喫してしまったが、雨の2レースで優勝を飾った。
しかしながら驚くべきは、デビュー2年目の若者がトップチーム移籍後瞬く間に7つものポールと2度の優勝を飾り、年間ランキングでも堂々の4位に輝いてしまったことである!
|