Toleman Hart
TG184
'81年よりプライベートエンジンビルダーのハートとともにF2からステップアップしたトールマンは、参戦当初から南アフリカ出身のロリー・バーンがマシンデザインを手掛けてきた。そこそこの実力をつけてきた'84年、期待の新鋭だったセナを獲得し、彼にバーンが用意したのがこのTG184であった。
当時から独自の空力理論を展開し、鬼才と言われ始めていたロリー・バーンはこのTG184では、かなり空力に凝りながらもコンパクトかつシンプルなマシンに仕上げてみせた。
当時としてはかなり細みのモノコックを持ち、そこにフラップを持たない、明らかにベンチュリー効果を期待したフロントウィングが取り付けられた。また、リヤタイヤの車軸よりも前方に設けられたメゾネットウィングは車両幅一杯の1400mmの幅を持ち、その翼端板は非常に有機的な形状で、彼らしいデザインであった。
一方エンジンの方は、大エンジンメーカーの全面競争と化しつつあったターボエンジン戦線の中善戦をしていたプライベーター、ハートの直列4気筒ターボエンジン415T。なんとモノブロックのこのエンジンはかなりコンパクトにまとまっており、お世辞にもパワーは一線級ではなかったが、シャシーの設計度に自由度を与えていたようだ。
かなり鋭敏で良い操縦性を発揮したこのマシンを駆ってセナは予選最高位3位に、2位フィニッシュ1回、3位2回、入賞は計5回と、新興チームのルーキーとは思えぬ大活躍を演じた。そしてトップチーム、ロータスの翌年のシートを獲得したのだった。
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