Computer : Apple PowerMac G4 Cube
優雅。 静粛で美しいCubeと大画面Cinema Displayがもたらす世界。
麗しき、PowerMac G4 Cube。こんなに美しくて、こんなに「持つ喜び」を与えてくれるコンピュータが他にあるだろうか?
仕事の関係で実物を初めて見た瞬間、惚れ込んでしまい、その週末には札束を持って店に赴いていた。
Cubeは、その後PCの自作キットで流行った「静穏」パソコンのハシリであり、コンパクトな立方体ボディも大いにコピーされた。だが、ここまシンプルで美しいCubeを見ていると、それらコピー品は陳腐にしか見えなくなってしまうほどだ。
「静穏」というだけあって、Cubeには熱対策のファンがない。騒音源になるのはハードディスクの動作音だけである。iTunesというAAC/MP3ソフトでBGMをかける時にも、この静かさは大きなメリットとなる。
そもそも、自分にとってコンピュータと言えばMacintoshだ。Windows全盛の世間一般から見れば、理解に苦しむことだろう。だがどうしても自分はWindowsの画面が閉塞された空間に思えてならない。Macの柔軟で、美しい画面を使っていると、何か新しいことにトライしたくなってくるものだ。初めて出会ったコンピュータがMacで良かったと思う。(ちなみに、Cubeは自分にとって2代目のMacだ)
MacOSがOSXになって、古き良きMacらしさが失われたという意見もある。しかし、OSXは間違いなく新世紀を担う器を持ったOSだと思う。
特に、文字が美しい。Windowsユーザのみならず、OS9からXに移行していないユーザーにも是非見てもらいたい。書類を扱うのさえ楽しくなってくる、というのがわかってもらえるはずだ。 (ちなみに恐るべき事に、このスクリーンショットをとる前日にアップデータが出て再起動するまで、このマシンは16日間再起動する事なく問題なく動いていた。)
美しいMacOSXの画面。クリックで拡大できる。
このCubeが発売された当時は、まだOSXは登場していなかった。だが、Cubeは間違いなく、この美麗なOSXが搭載されることを想定して作られたのは間違いない。だが、OSXが本格的に普及する前に、あっけなくCubeは生産中止に追い込まれてしまったのだ。
USBとFirewire(IEEE1394)だけという拡張性の乏しさに加え、発売直後に電源のトラブルが続発したり、ボディ表面のモールドラインが問題になるなど、ネガティブな話題が多く、販売台数はついぞ、Appleの目標値に達することはなかったのである。
実はこの個体も、買ってから2週間ほどで電源が入りにくくなり、最終的には全く反応しなくなって修理する羽目になった。
また、静穏のためのファンレス設計はCPUの方はそれなりにカバーできているようだが、グラフィックカード側の排熱が不十分だったようで、夏はグラフィックカードに付いているUSB系が頻繁にリセットされてしまう...。OSXならドライバが優秀なのかそのまま使い続けられるが、OS9ではそのままフリーズということも頻繁だった。そのせいもあって自分のOSX移行が早まったとも言える...。
にも関わらず、そのグラフィックカードを、標準のATI Rage128Proから、さらに熱的に厳しいnVidia GeForce2MXに換えてしまうのだから、もはや阿呆としか言いようがないわけである。だが、それも大画面Cinema Displayの導入のためなのであった。
浮かぶパソコン。 Cubeという形だけは真似できても、この美しさだけは絶対に真似できない!
だが、それらトラブルを差し引いても、このCubeは「モノ」として所有する喜びを与えてくれる希有なコンピュータだと自信を持って言える。そろそろ性能的には時代遅れになりつつあるが、Cubeを超える物欲を誘うコンピュータが現れない限り、この小さな体にむち打たせてもらうつもりだ。
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