Red Bull Sauber Petronas
C19

(lauched on 2nd.Feb)

< Prost McLaren >

チーム状態など

 昨年はマシンの信頼性不足によって成績低迷した上、パートナーのフリッツ・カイザーとも揉めてしまい、アレジにも愛想を尽かされたザウバー。
 しかしながらその割には今年もペトロナスやレッドブルといったスポンサー陣も残り、パルマラートを握るディニスも残留して大きな体制変化はありませんでした。しかしながら、スイスという地元のために、他のチームとは随分と違う雰囲気のために、スタッフの定着率が低く、それがチームの体力の上昇の妨げになっているようです。

 しかしそれでも今年は過去最低だった昨年の成績からの上昇、セカンドグループのトップを狙っています。


オーバービュー

test

 技術陣は、ザウバーの一連のマシンを担当してきた超保守派レオ・レスに加え、手堅いデザインに定評のあるセルジオ・リンランドが加入。レベルは確実に上がっています。さらには、エンジンのみならず、ギヤボックスなどにもフェラーリの技術協力が行われ、信頼性が大幅にアップ。さらには、驚くべきことに30kgもの軽量化にも成功したようです。これによって昨年悩まされたアンダーステア(*)も解消されたようです。
 さて、マシンの画像を見ると、華奢な印象のあった昨年のマシンに比べ、ゴツく、無骨になった印象で、いかにも信頼性が向上した、という感じを受けます。


マシン前半部分

monocock
c19のモノコック

 昨年のC18では鋭く尖ったノーズ先端と、前方に向って伸びたフロントウィングのステーが特徴的でしたが、そのどちらもが廃止され、少しダルな丸みを帯びたノーズに垂直にステーが伸びた、実にコンベンショナルなものになりました。
 ただし、モノコック(*)を含めた高さはエンジンを供給するフェラーリと同様、流行とは逆に依然として高いままです。しかも、他の多くのチームが採用しているような、モノコック上にフィンを立てて断面積を少しでも削ろうとさえしていません。ちょっと時代遅れだと言わざるを得ません。

 一方で、面白い試みも見られます。通常、ハイノーズの場合はフロントサスペンション(*)のロワアーム(下側のアーム)はモノコックの底の部分を船のキールのように造形し、そこに取り付けるのが一般的ですが、C19では小さな突起を左右に一つずつ設け、ロワアームを受けとめています。これによってモノコックの底部分はスムースに造形されていますね。リンランドらしいデザインです。
 ただ、これで本当に空力的に有利になるかは...ちょっと疑問ですが。

 複雑な3D形状をしたディフレクター(*)やフロントウィングの翼端板は、ザウバーでは早くから積極的に開発していた部分で、C19でも継承されてますね。しかし、今や他チームも追い付いてきた感がありますね。


マシン後半部分

 昨年のチャンピオンエンジン、フェラーリ048Bを得た今年は、フェラーリ同様の上方排気が採用されました。

side-pontoon
C19リア部分

 サイドポンツーンは昨年から大きな変化がありません。ラジエターインテークが少し丸くなった程度でしょうか。コークボトル(*)の絞り込みも昨年とあまり変わらず、リヤカウルの後端部分もまだ高めで、他チームより遅れている感があります。なんだか上方排気を採用した意味があまり感じられませんね。

 コクピットのプロテクターの後部は他チームとは違い、そのまま後方へその突起を延ばすデザインになっています。これも、マシン断面積を少しでも削ろうという最近の流行に逆行するもので、疑問が残るところですね。
 リヤタイヤ前方の空力デバイスも他チームがマクラーレン風の3D形状のフィンを採用する中、依然としてウィングレットタイプを採用しており、かなり保守的なデザインだと言えますね。


総括

 総じて、外観上は非常に保守的...言ってしまえば時代遅れなデザインと言えます。まあ、これはレオ・レスならではというところですが、内部では相当のフェラーリ化が進んでいるのは間違いありません。フェラーリの技術強力で軽くなったギヤボックスは間違いなくマシンの操縦性の改善につながるでしょうし、なんといっても、昨年のチャンピオンエンジンに外れがあるわけがないのです。狙い通りの信頼性を確保できれば、昨年よりは入賞回数は多くなると思われます。
 ただ、飛び抜けた速さを発揮することはなく、やはりシーズン通しての順位はあまり変わらないでしょうね。

< Prost McLaren >
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