Benson and Hedges Jordan
EJ10

(lauched on 31st.Jan)

< Arrows Prost >

チーム状態など

 F-1参戦から10年でついにトップ3にまで上り詰めたジョーダン。
 実はその予算は意外に少なく、中堅チームの中ほどといったところなのです。それでもあれだけの好成績を収められたのは、徹底した効率的なチーム運営の賜です。トップクラスの資金をほこりながらシーズン途中で使い切ってしまったどこぞの新参チームに見習わせたいですね (^^;。
 今年はドイッチェポストの大口スポンサーも獲得した上、才能は折り紙つきのトゥルーリも加わりました。実績のある無限ホンダに、強固な技術陣も健在、とまるでハズレのない体制で今年も臨めると言えます。ますますトップ3の地位を固める年にしたいところでしょう。


オーバービュー

launch

 さて、参戦10年目の今年はマシンの名称も一新。その名も、エディ・ジョーダン10周年を冠した「EJ10」。

 パッと見...き、気持ち悪い!
 少しボリューム感のあった昨年のマシンから一転、贅肉を徹底的に削ぎ落とした、まるで彼らのチーム運営方針のようなマシンになりました (^^;!
 基本的にはベーシックなマシン作りながら非常に攻めるところは攻めている印象です。それでいて、不必要なところでは無駄な金を使わず、コストを抑えているな、という印象があります。


マシン前半部分

monocock
EJ10のモノコック

 モノコック(*)上にフィンを立てて規定以下のサイズを実現しているのは他チームと同じですが、ジョーダンは他のチームよりもさらに思い切って小さくし、コクピット前方を三角形状に盛り上げることで寸法規制と、ドライバーに当たる空気のコントロールを両立しています。この三角形の盛り上がりは、'90年代初頭のティレル018〜020あたりにも似てますね。

 これに伴い、フロントサスペンション(*)は昨年全チームで唯一だったコイルスプリングから、スタンダードなトーションバースプリングに変更されました。また、タイロッド(*)も流行のアクセルラインの高さになっています。
 一方で、ノーズの先端は流行と逆行するように、少ししゃくれ上がった形状に変更されていますね。

 ディフレクター(*)は昨年同様モノコック横の小型のものにとどめる一方、昨年中盤に投入した「ボーダーウィング」と言われるデバイスを継承しました。
 これはサイドポンツーン(*)前方の下部に設置され、ポンツーン下の空気の流れをコントロールするようです。ウィリアムズも採用していますが、巨大なディフレクターを採用するチームが多い中で、面白い試みです。

 インダクションポット(*)からドライバープロテクター付近も思い切ったシェイプアップが施されています。インダクションポットは規定ぎりぎりの大きさを狙った結果、完全に三角形に(これ、'89年開幕戦仕様のマクラーレンMP4/5とそっくり (^^;;)。プロテクターも上手く寸法規制を逃れたらしく、他チームと比べてはるかに低くなっていますね。
 果たしてここまで徹底的にやって効果があるのか、副作用がないのか不安なところですが、その心意気はなかなか嬉しいものがありますね!


マシン後半部分

side-pontoon
EJ10リア部分

 さてサイドポンツーンを見ると、非常に直線的なラインになり、無骨な印象を受けてしまいます。
 ラジエターインテークは最近の流行に則り、地面よりもいくらか高いところに設けられています。この辺はボーダーウィングの採用とあいまって、空力的によく練り上げられた印象ですね。

 ラジエターインテークは最近の流行に則り、地面よりもいくらか高いところに設けられています。この辺はボーダーウィングの採用とあいまって、空力的によく練り上げられた印象ですね。
 ポンツーン後端、リヤタイヤの前方にはウィングレットが設けられています。最近はここに三次元タイプのフィンを設けているチームが多い中で、これは非常に無骨に見えます。しかしその翼端版の内側は微妙な三次元形状に仕上げられており、ここも彼らなりに非常に良く考えられたデザインであることが伺えます。

 んで、ここも他チームと同様に上方排気を導入。なかなか綺麗にまとめられています。エンジンの低重心化、新しい小型ギヤボックスなどとあいまって、リヤ部分の空力は見た目以上に進んでいると考えられますね。非常にコンパクトにまとまっていると思います。


総括

test

 総じて見ると、最初感じた「気持ち悪さ」と裏腹に、各部はなかなかに良く練られ、それでいて、最近の流行もバランス良く採り入れられた興味深いマシンと言えます。

 今年からホンダワークスが参戦しましたが、ジョーダンとしてはその影響が気になります。しかしながら、マシンへの搭載性を優先したワークスと比べ、比較的エンジン自体の性能を重視した昨年型の改良で挑む無限の方は、より高出力型にしやすく、シャシー側でも手堅くも攻め込んだEJ-10は、ワークスBARよりも高い戦闘力を発揮することは間違いないと思われます。
 ただし、将来的には無限の体制に関しては不透明な部分はぬぐえません。目の前のグランプリを戦いながらも、来期以降のエンジンに関しての再検討も必要でしょうね。

< Jaguar Prost >
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