West McLaren Mercedes
MP4/14

(lauched on 8th.Feb)

< Minardi Arrows >

 さぁ〜っ!やってきました、真打ちマクラーレンMP4/14!!!
 ニューレギュレーションのBSタイヤの特性を読み、思いきったコンセプトと攻め込みまくった空力、それに最高のパッケージングを誇るメルセデスエンジンでハッキネンをチャンピオンに押し上げたMP4/13。生みの親たるアドリアン・ニューウィー「F-1界最高のデザイナー」との評価を不同のものとしました。

 もはや完璧とも言えたMP4/13。マクラーレンは(過去の経歴もあり)このマシンを順次改良して行く手段を選ぶものだと、誰しもが考えていました。
 しかし、革命派ニューウィーは、「完成形だからこそ、改良できる点も少ない」ことをしっかりとわかっていました。昨年後半に追いすがって来たフェラーリを完膚なきまでに突き放すためには、ラジカル進化が必要であると。


MP4/14 launch

 一見すると、MP4/13と全く変わらないように見える外観。「どこがラジカルなのじゃ?」と思われるかも知れません。しかし、このマシン、ニューウィーの「攻め」の姿勢が随所に感じられるもの凄いマシンになっています。
 あんまりに凄すぎて、「'89年の二の舞いにならんかいな(めちゃくちゃ期待されたレイトンハウスCG891は攻め過ぎて大失敗!)」と思わせる程です。そういやなんとなく雰囲気も似てるぞ...。

MP4/14 launch side

 あれだけ徹底的に低かったMP4/13でしたが、驚くべき事に、MP4/14はさらに低くなりました!!
 昨年はモノコックの上面にフィンを設けてレギュレーションを満たしていたほど低かったのですが、今年はそのフィンがさらに大きく、前方まで延びたものになりました。それだけ、モノコックが随分と低く、そして小さくなったのだという事です。
 当然そこからつながるコクピットサイドもさらに低くなりました。プロテクターも細かいデザインチェンジが行われ、よりスムースな形状になって空気抵抗を低減しているように見受けられます。

 で、かなり謎なのが昨年採用し、今年も多くのチームに波及したアッパーアームと分離したタイロッドはMP4/14では採用せず、従来通りアッパーアームと同じ高さになりました....と、思いきや!!
 よくよく見ると、タイロッドは車体側はアッパーアームのフロントレグ(前側)の直前からタイヤに向かって延びていますが、なんとタイロッドはかなり大きな後退角がついており、アッパーアーム2本を突き抜けてキングピンの後方に接続しているのです。(書いてて自分でもわかんなくなってくるぞ!!)
 とにかく、わけわからんほど複雑で、さらには後退角のせいで強度にも不安がある形状をあえて採用して来ました。う〜〜〜〜〜〜ん???????
 今のところニューウィーの真意は計り知れますが、とにかく、またとんでもないことをやってきたのではないか、ということですね。パワーステアリングの性能にも相当の自信があるのでしょう。

MP4/14 upside

 それから、サイドポンツーンはこれまたかなり攻め込んだ空力です。
 まず、MP4/13でフィンの下に排出していたラジエターエアを、昨年のアロウズA19のように、ポンツーン上面に排出する方式に変更。
 しかし、アロウズよりもさらに洗練され、フィンに向かって排出する事で、そこにぶち当たる空気によって、排出効率も上げようという狙いがあるようです。

 で、こうしてラジエターの排出口が上方になった分、サイドポンツーン後端下側のコークボトルの絞り込みはさらに強烈になりました。より前方から緩やかに、しかしそうとう細くまで絞り込んでおり、徹底的に整流された空気をディフューザ上面に導こうとしているようです。
 また、この後端部分のカウルの高さも一段と低くなったようですね。

 ギヤボックスも新設計の縦置き7速ギヤボックス。これがまた凄い。非常に細身な上に、デフをかなり高い位置に配置する事で、かなりの小型化・低重心化を図っているようです。ドライブシャフトに後退角、下降角がついていることからもそれがよくわかりますね。当然、規制が強まったとは言え、エレクトロリックデフも搭載していることでしょう。

 で、これ以上に注目すべきはこのマシンのコンセプトです。
 昨年はフロントタイヤの性能をギリギリまで引き出す事で、理想的なグリップを得られるよう、相当フロントヘビーなコンセプトのMP4/13が大成功し、各チームは今年、完全にそれに追従しようとしています。
 ところが、ニューウィーはMP4/14では、また後ろよりの重量配分に戻しつつあるようなのです。

 考えてみれば昨年のマシンは使われていなかったフロントタイヤの潜在能力を引き出す事により、理想的なグリップを得ていたわけです。
 ところが、今年はフロントタイヤの溝が4本になり、さらに全幅制限も加わったため、フロントタイヤの潜在能力そのものが、かなり削減されてしまったと考えるべきです。
 それならば、無理にフロントヘビーにするよりも、電子制御の規制によって奪われてしまったリヤタイヤに再び荷重を与えるべきではないか?
 恐らくニューウィーの新しいコンセプトはこのようなものだと思われます。

 う〜〜〜む、またしても他チームを一歩も二歩もリードするマシンを作って来てしまった感があるなぁ。


 とにかく、このMP4/14、惚れ惚れする程凄く攻め込んだマシンだと言えます。見栄えがこれまたかっこいいです。シャープです。

 テストでもシェイクダウンは一周も走れなかったようですが、とりあえずフェラーリをちぎっちゃったようですね。
 ただ、まだまだいろんなとんでもないスーパーアイテムを隠しているようで、信頼性に関しては不安が残っています。

 しかし、私は予言しておきましょう。「今年も最強マシンはマクラーレンになるだろう」と。これに、自信満々になってチャンピオンとして生まれ変わったハッキネンが乗った時、フェラーリ・シューマッハがこれに勝つのは相当の苦労が必要となるでしょう。

< Minardi Arrows >

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