Benson & Hedges Jordan Mugen Honda
199

(lauched on 1st.Feb)

< Ferrari Minardi >

 昨年序盤の大不振から立ち直り、初優勝を飾るなどして見事トップ4の座を射止めたジョーダン。
 F-1参戦以来チームの技術部門を支えて来たゲイリー・アンダーソンが残念ながら去ったものの、ベンソン&ヘッジズからの資金をバックに技術部門を大幅に拡張した上、昨年中盤戦からティレルからマイク・ガスコインが移籍してきたため、アンダーソンの穴を補ってあまりある体制が完成しました。

 さて、昨年の198の序盤の失敗はやはり、新レギュレーションに対するコンセプトのミスにありました。サイドポンツーンが長過ぎてフロントの空気の流れが滞り、フロントウィングの効果が薄れた上に、重量バランスも良くなく、ブレーキング時の重量変化もよくありませんでした。
 しかし、その後矢継ぎ早に施された改良はどれも吉と出て、無限ホンダのパワーアップと相まって、大幅に戦闘力を向上させる事に成功しました。

 そのため、ここもフェラーリと同様、今年は昨シーズン途中に加えられた改良を整理し、完成型にすることであったことは、ガスコインも公式に認めています。

 しかし、フェラーリと違う事は、外見...つまり、空力パッケージに関してはかなりガラッと変えて来た事です。

199 launch

 パッと見て実に低く、精悍な外観。あのノーズのスズメバチもより戦闘的なカラーリングに変わり、ジョーダンの本気が伺えます。恐らく、チームの誰もが「今年はチャンスだ!」と思っているのでしょう。

 特に目立つのがコクピットの低さ。198ではまだドライバー着座位置が高く、プロテクターもかなり目立っていましたが、199になって、まるでためらいの欠片もなくドライバーの着座位置は低められ、さらにフィンによって寸法を稼いでおり、プロテクターはほとんどコクピットの縁と同じくらいの高さにまで低められています。この低さは今年のマシンで随一かも知れません。

199 in test

 で、また面白いのがこのプロテクターによって盛り上がってしまったコクピットサイドを周りに馴染ませていく方法。他のチームは、少しでもプロテクターの幅を狭めるためにコクピットの縁を明確にサイドポンツーンと分けて切り立った感じにしているのですが、ジョーダン199の場合は、非常にプロテクターが低い分、ほとんどその高さのままサイドポンツーンへと膨らみが吸収されています。
 その分、インダクションポッドが非常に幅が狭く作られており、またサイドポンツーンの上面も広く取れる結果となり、そうとうリヤ上面の空力性能を向上させていると思われます。

 見かけ的にもなかなかスマートでかっこいいですねぇ!

 サイドポンツーン後端は、ラウンチ時には198でのウィングレットに変わって、昨年イタリアGPでのみ使用したフィンが取り付けられましたが、テストではウィングレットも使用しているようですね。

 ディフューザはこれまた昨年後半戦に使用していた、奇妙な曲線の入ったスプリッターを持つディフューザを装備。しかし、このあたりは最新トレンドな形状だと言えます。あ、テールランプ、ジョーダンも斜めになってる!

199 diffuser

 また、ノーズは先端がかなり低めにされていて、一見してマクラーレンMP4/13を模倣して来たように見えます。しかしその実、このマシンはかなりマクラーレンがオリジナルのトレンドから離れたマシンとなっています。
 ノーズの先端こそ低いですが、良く見るとそのままの高さを保ったまま、ほとんどドライバーのお尻の直前くらいまで底が高くなっている事がわかります。フロントサスペンションのロワアームも、突起を設けて受けとめているあたり、マクラーレンと比べて、相当のハイノーズであることが見えてくるわけです。
 また、現在トレンドである巨大なディフレクターも装備せず、ノーズ横の小さなディフレクターのみに留まっています。

 さらに、タイロッドも従来通りアッパーアームと同じ高さですし、なんとアロウズを除く他の全てのチームが採用している最新トレンドのトーションバー横置きレイアウトも採用せず、従来どおり、コイルスプリングモノコックの上面に寝かせて配置している事が、上面の突起からもわかります。

 このように、このジョーダン199は、悪い言い方をすれば「保守的」かもしれませんが、決して流行を追ったりはせず、自分達の良く分かっている道具でメカニカル部分を仕上げつつ、かなり攻め込んだ空力パッケージを構築した、という印象を受けます。
 今年は目の上のタンコブであるウィリアムズやベネトンは、基本設計の古いスーパーテックエンジンに悩まされると考えられます。それに対し、ジョーダンは来期から復帰するホンダがバックについている無限エンジンです。
 それは裏を返せば、来年のエンジンが流動的であることでもあるのですが、しかし、ホンダのバックアップでパワーアップしたエンジンを供給される上に、もし今年好成績を収められれば、ホンダのセカンド供給チームとしての地位も得られるかも知れません。
 そんなわけで、今年は昨年よりもかなりいい成績を狙っているでしょうし、そしてそれは期待外れで終わる可能性も少ないと僕は思っていますね。

< Ferrari Minardi >

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