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2000 Round.5
Spanish
7th.May.2000

Spain
Catalunya
Catalunya Circuit



 スペインGPの舞台となるカタロニアサーキットは代表的な近代的サーキットと言え、長いストレート、バラエティ溢れるコーナーと、マシン全体の総合力を問われるきついコースである点が特徴である。

 このコースでの初年度の'91年には、現在でも語り種となっているマンセルとセナのホイール・トゥ・ホイールの凄まじいバトルが繰り広げられた。

 今回のテレビ中継では鈴木亜久里氏が「最も印象に残っているシューマッハのスペインGPは'96年」と語っていた。大雨の中のレースで、未完成と言えるフェラーリF310を駆り、見事に優勝に導いたシューマッハの走りは確かに凄まじかった。

 しかし、筆者はシューマッハの凄まじさを見せつけられたスペインGPとして、'94年を挙げておきたい。
 セナ、ラッツェンバーガー、ヴェンドリンガーの事故を受け、大幅に空力に関して規制が加えられたこのレースにおいて、開幕5連勝をかけてシューマッハはトップを快走するもレース中盤でギヤボックストラブルに見舞われ、5速にスタックしてしまう。
 だが、ウィリアムズのデーモン・ヒルに抜かれてしまったものの、その後、ただでさえ厳しいこのコースなのに、5速のみでの走行にドライビングスタイルを変化させたシューマッハは快調時の2, 3秒落ち程度のラップタイムペースでそのまま走り切って2位でゴールしてしまったのだ。

 とにかく、柔軟にドライビングスタイルを変化させ、そのマシンでの最大のパフォーマンスを引き出してしまうシューマッハの恐ろしさを垣間見たレースであった。


 さて、レースレビューに移ろう。



start


 ポールポジションを獲得したのは、その男。現在のポイントリーダーである、フェラーリのミヒャエル・シューマッハであった。
 しかし、スタートで良い加速をしたのはむしろハッキネンの方で、一旦はシューマッハの横に並びかけたが、絶妙のライン取りでシューマッハがそれを許さず、ハッキネンはアウトにラインを取らざるを得なかった。
 だが、ハッキネンにとってはとりあえず、ここで5番手からロケットスタートを決めたウィリアムズのラルフ・シューマッハをおさえたのは大きかった。
 案の定、ペースが劣るラルフに前に出られたクルサードとバリッケロはシューマッハ、ハッキネンとは大きく引き離されていったからだ。このコース、今のF-1マシンにとっては、まったく抜きどころがないのである。



 この直前のテストから絶好調であったシューマッハは序盤から飛ばし、ハッキネンとの差を広げる。シャシーの総合力を問われるこのカタロニアサーキットではマクラーレン圧倒的有利と言われてきたが、それを覆さんばかりの走りである。
 だが、差が3秒となったところから二人のペースはほぼ同じくらいになり、開かなくなった。それどころか、シューマッハは周回遅れの処理にいつもほどの切れの良さがなく、手間取る間にハッキネンに迫られる事になる。

 だが、シューマッハは切り札を残していた。
 特にタイヤに厳しいこのサーキット。勝負は決勝でのタイヤにあると考えたシューマッハは予選アタックを一回分削ってでも新品のタイヤを温存していたのだ。



start


 いよいよ一度目のタイヤ交換&給油にシューマッハが向かう。
 素早いワークで作業終了と同時にシューマッハがダッシュ!
 しかし、ここでアクシデントが起こる。
 給油機を外すのに手間取ったチーフメカニックのナイジェル・ステップニーがシューマッハのマシンに巻き込まれて怪我を負ってしまったのだ。



 一方ハッキネンは無難にピットインをこなす。
 だが、シューマッハよりも多めに給油したこと、またシューマッハが新品タイヤでペースを上げたことから、逆転するには至らず、2位のままコースに戻った。

 一般には、給油はなるべく後に延ばしたほうが軽い車重で、速く走れる周が増えるので、有利と言われる。しかしながら、タイヤに厳しいこのサーキットでは、タイヤのグリップがタレてしまうため軽くてもペースが上がらないため、この黄金律が通用しないようである。
 これを証明したのがクルサードの2回目のピットインだ。
 前をラルフとバリッケロに抑えられたクルサードは早めのピットイン。バリッケロとラルフも翌周に慌ててピットインしたが、ニュータイヤでペースを上げたクルサードはまんまと二台の前に出た。

 さて、トップ争いに目を戻そう。
 トップをキープしたシューマッハだが、その後ペースが上がらない。逆にペースを上げたハッキネンに完全に追いつかれ、テール・トゥ・ノーズ状態となる。
 しかし、やはり抜くのは困難で、このまま2回目の給油に向かう事になる。
 マクラーレンとフェラーリのクルーが同時に動く。同時ピットインだ!

 しかし、ここで二人は大きく明暗を分ける。
 多めの燃料を積んでいたハッキネンはわずか6秒台の見事なストップでピットアウト。一方、メインの給油マンを怪我で欠いたシューマッハは給油でてこずり、17秒ものストップを強いられたのだ。順位は逆転し、大きな差がついた。



start


 さらにシューマッハに不運が襲う。
 せっかく温存しておいた新品タイヤだったのに、これにスローパンクチャーが発生してしまったのだ。3位に上がっていたクルサードに1コーナーであっさりとかわされていく。



 さらに、弟ラルフと、チームメートバリッケロの4位集団にも追いつかれる。
 しかし、ここでシューマッハは実に老獪なチームプレーを披露する。パスにかかったラルフを執拗にブロックした挙句、アウトに追いやり、空いたインからバリッケロを行かせ、自分に代わって彼を3位に押し上げたのだ。
 だが、それぞれ相手のマシンにダメージを与えることなく順位を入れ替えるという、実にクリアなプロのドライバーの技を見ることができた。
 こうしてシューマッハは再びタイヤ交換のためにピットイン。5位に落ちてしまった。

 これでレースの大勢は決まった。1位ハッキネン、2位クルサード、3位バリッケロ、4位ラルフ、5位ミヒャエル、6位バトン。

 ところが残り3周。ルーキーながら連続ポイントに向けて力強く走っていたバトンのマシンから白煙が上がる。...実に残念なエンジントラブルだ。
 しかし、このタフで総合力の問われるサーキットにおいても見事にトップクラスの走りを見せたルーキーのバトンは、改めてその素晴らしい才能を見せ付けたことになる。今後の彼の活躍はさらに期待できると断言しよう。
 これでジョーダン無限ホンダのフレンツェンが6位に上がった。



Podium


 そしてそのままマクラーレン勢が2戦連続の1-2フィニッシュを達成。また、これはここスペインGPでは3年連続という快挙である。
 とにもかくにも、チャンピオン・ハッキネンがようやく今季の初勝利をおさめたのである。




 昨年「史上最もつまらなかったF-1レース」といわれたこのスペインGP。今年もやはりオーバーテイクは多くないレースであった。
 しかしながら、ハッキネンとシューマッハの接近戦、そして緊迫したピット戦略、そしてシューマッハの老獪なチームプレーと、なかなかに見所の多いグランプリだったと言えるだろう。

Result
1 M.Hakkinen McLaren Mercedes 1:33'55.390
2 D.Coulthard McLaren Mercedes +16.066
3 R.Barrichello Ferrari +29.112
4 R.Schumacher Williams BMW +37.311
5 M.Schumacher Ferrari +47.983
6 H-H.Frentzen Jordan Mugen-Honda +1'21.925
7 M.Salo Sauber Petronas -1lap
8 R.Zonta Bar Honda -1lap
9 G.Fisichella Benetton Playlife -1lap
10 A.Wurz Benetton Playlife -1lap
11 E.Irvine Jaguar -1lap
12 J.Trulli Jordan Mugen-Honda -1lap
13 J.Herbert Jaguar -2laps
14 M.Gene Minardi Fondmetal -2laps
15 G.Mazzacane Minardi Fondmetal -2laps
16 N.Heidfeld Prost Peugeot -3laps
17 J.Button Williams BMW -4laps
- DNF -

J.Verstappen Arrows Supertec 25laps (mechanical)

J.Villeneuve BAR Honda 21laps (mechanical)

P.De La Rosa Arrows Supertec 1lap (crush)

J.Alesi Prost Peugeot 1lap (crush)

P.Diniz Sauber Petronas 1lap (spin out)

Fastest Lap : M.Hakkinen (McLaren Mercedes) 1'24.470

Drivers
Chanpionship
Constructors
Chanpionship
1 M.Schumacher 36 1 Ferrari 49
2 M.Hakkinen 22 2 McLaren Mercedes 42
3 D.Coulthard 20 3 Williams BMW 15
4 R.Barrichello 13 4 Jordan Mugen-Honda 9
5 R.Schumacher 12 5 Benetton Playlife 8
6 G.Fisichella 8 6 BAR Honda 6
7 H-H. Frentzen 5 7 Sauber Petronas 1
8 J.Villeneuve 5
9 J.Trulli 4
10 J.Button 3
11 R.Zonta 1

M.Salo 1



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